〇〇できたら幸せになれる・・・は永遠に幸せになれない 会社を辞めて改めて考えた幸せということ
こんにちは、まぶこです。
今日は会社を辞めてから、私が「どうしてこうなっちゃったんだろうな?」と、冷静に考えてみたことをお話しさせてください。
私は仕事のキャリアがほとんどありません。
学生からすぐに結婚をし、出産、子育て
そして子供たちが少し手が離れるようになってパートタイムでの仕事を何年かし、そして経てついたフルタイムの仕事は、創業間もない会社での仕事でした。
スタートアップの会社の仕事は、事務作業から、営業のお手伝い、現場への納品や打ち合わせ、あらゆる仕事があり、またそれをやらせてもらいました。
毎日ジェットコースターのようなスピード感があって、刺激もあり、楽しい仕事でした。
そして「もっとできるようになりたい!」
と、仕事に関係する本・・・実務に関する本はもちろん、成功哲学や目標達成、時間管理、ロジカルシンキングなどあらゆる本を読みました。
もともと私は本を読んだりして、知識を得るということは好きです。
しかし仕事を始めてからの勉強は、それ以外にも目的があったのかもしれません。
キャリアがないことでずっと後ろめたい気持ちがしていて、早く「できるオンナ」になりたかったのかもしれません。
いや間違いなく、そんな気持ちはありました。
そして本質をみつめることなく、あくまでも手っ取り早く「成功したい」という欲求から、断片的にしか捉えることができなかった成功哲学の知識が、いつしか私の中で諸刃の剣となって、自分自身もまわりをも傷つけ始めます。
手っ取り早く、〇〇ができれば成功し、幸せになれると思うようになっていったのです。
・時間管理ができるようになれば、成功し、幸せになれる
・目標管理ができるようになれば、成功し、幸せになれる
・人の幸せを願えるような人になれば、成功し、幸せになれる
・理論的に物事が考えられるようになれば、成功し、幸せになれる
・ポジティブに物事が捉えられるようになれば、成功し、幸せになれる
そしてそれができるようになっていない現状の自分を否定し
「自分なんて駄目だ、もっと努力しなくては」
そんな負のスパイラルに、気が付けば入っていってしまいました。
そうすると何も楽しくないし、とにかくできていない自分を責めるので、ずっと悲しい気持ちの毎日です。
そしてこれがさらに恐ろしいのは、自分だけではなく、できていない他人を責めるところにありました。
自分はこんなに苦しんでいるのに、のんきでいられる他人が許せなくて仕方ないのです。
そして気が付けばいつも
「〇〇ができないあの人はだめだ」
「〇〇ができない私はだめだ」
直接こんな風に言わないまでも、間接的に他人を批判し始め、周りの人間関係はどんどん悪くなっていきます。
成功したくて、できるオンナになりたくて頑張っているはずなのに、なんかうまくいかない。
そう思うと、仕事へのやる気もなくなり、手につかなくなる。
そしてついに「あの人があなたのことを悪く言っていたよ」という一言で、私は体調が悪くなり、ベッドから起き上がることができなくなりました。
そして仕事から離れて、やりたかったレタープレスをやりながら思うのは
「やっぱり楽しくなきゃだめだな」
ということ。
できる以上に大事なことは、楽しいということ。
いくら好きなレタープレスをやっているといえども、事業に育てていくにためには、頭を抱えるようなことはたくさん。
だけど達成された未来にばかり幸せを求めていても、今の私が幸せで楽しくなければ、きっと目標が達成されたとしても、この満たされない気持ちは繰り返すんだと思います。
事業をしていくこと、継続させていくことというのは、瞬間瞬間を面白がれるかどうかにかかっているのだと考えます。
何があってもその瞬間を面白がって、事業をしていきたいと思います。。
レタープレスを始める③
こんにちは、まぶこです。
刷りあがったレタープレスで制作したカードを持って、10年来のママ友とのランチへ。
ママ友は3人。
長子が幼稚園の時からの友人です。
「見てみて、これ、作ったの」
「えーーーいいじゃん!」
彼女たちならこう言ってくれるだろうな、と思っていた通りの反応が返ってきました。みんな洋服を縫ったり、編み物をしたり、アクサセリーを作ったりと様々な手作りをするメンバーなので、誰かが何かを作ったという話にはとても敏感に、かつ大げさに反応してくれます。
「なんか調子悪いって言ってたけど、籠ってこんなことしてたわけね」
「どうやって作ったの?」
これまでの経緯を、オムライスをつつきながら話しました。
仕事を辞めたこと
レタープレスの本を眺めながらデザインを決めたこと
YouTubeを見ながら制作をしたこと
思いのほか上手にできて、うれしくて他の版も作ってしまったこと
「版って作るとどのくらいかかるの?」
「色の数やデザインにもよるけど、だいたい5000円くらいからかな。だからもうお小遣いもないし作れないなぁ」
「だったら売りなよ。売って、御殿建てちゃえばいいじゃん」
「いいじゃん、まぶこちゃん。売れるよ、かわいいし。京都とかで売れそうじゃん?」
いつも優しい年上のママ友も、そう言ってくれました。
なんかその気になってきた。
売っちゃう⁉
売っちゃえばいいね。
よし、売ろう!
ママ友のそんなに深く考えていない、「売っちゃえ!」の言葉に、その気になり、私はレタープレスを売ることにしました。
レタープレスを始める②
ポストカードを作り、すっかり虜になってしまった私は、他のデザインも作ってみたくなり、手元に残るわずかに使えるお金で、他の版も作ってみることにしました。
しかも同時に3枚。
そのデザインはこれ。
これを色ごとに分解し、デザインを作り真映社さんに入稿。
版が届くのを待ちます。
そして2日くらいして届いた版で、さっそく印刷してみます。
今回は浅黄と白のインキも混ぜてみました。
しっかりと練って、プレス機へ
「なんて、美しい!」
アンティークの着物そのものを再現できたような、美しい水色の流水模様。
数枚を刷ってみて、並べてまた一人うっとりします。
そしてそれらを眺めながら、しばしのコーヒータイム。
この数年の間に、こんなに自分のやったことに感動したことはあっただろうか?
思い返してみると、まったく思いつきません。
この感動は、これまで頑張った私に、神様からのご褒美だ。
この感動は、会社を辞めなければ出会えなかった。
辛かったけどベッドから出て、トライしてみてよかった。
辛かった数週間が、ちょっと過去になった気がしました。
レタープレスを始める①
こんにちは。まぶこです。
少々心が疲れたことで会社に行けなくなったものの、これまでやってみたかったレタープレスをやってみるということで、少し元気になったところまでお話をさせていただきました。
ではレタープレスとは、どうやってはじめたらよいのでしょうか?
実はずっと以前、レタープレスに興味を持った時に一度調べたことがありました。
東京神田にある真映社さんという製版屋さんが、自宅でレタープレスをする方法をYoutubeでアップされていて、それを見たことを思い出しました。
実際、仕事としてレタープレスをされている方は、専用の機器を使用し制作されています。
やはりそれらは高価で、私のような素人がポンと購入できるようなものでもないし、取り扱えるものではありません。
しかし真映社さんでは、1万数千円でアマゾンで購入できるプレス機を使ってレタープレスをする方法を推奨されていて、私はその方法で行うことにしました。
レタープレス機をアマゾンで買い、
専用インキは楽天で買い、
紙は紙屋さんで買いました。
そして樹脂版はというと・・・
Adobe Illustratorのようなソフトでデザインをし、真映社さんのような製版屋さんにお願いする必要があります。
Illustrator自体は、会社にいる頃にさわった経験があるので、どういうものかは知ってはいたものの、デザインの経験は皆無です。
しかしやったことないから、という理由でやめられないほどに、私のレタープレス熱は高まっていました。
PCはこれまで家にあった、子供たちがネットサーフィンに使うためだけにあった、ノートパソコンに Illustratorを入れました。(これもかなり苦戦しました。会社にいれば、こういう作業は他の人がやってくれていたので・・・。)
Illustratorを開いて、こういうものを描いてみたいというものを手始めに描いてみることにしました。
対象形のお花の模様って、どうやって作るの?
和柄に多い菊模様って、どうやって作るの?
描き方をググったにもかかわらず、描くための機能が、 Illustratorの中のどこに入っているのかが全然わからず、小さなお花を描くだけで最初は2時間くらいかかりました(泣く)
それでもなんとかはがきサイズのデザインが描けるようになり、気が付いたら1か月で100種類近いはがきサイズのデザインを描いていました。
「ハマれば時間を忘れて取り組む」という私の特性で、朝5時から深夜まで、食事も家事もそこそこに、描いて描いて描きまくりました。
途中「PCの容量がいっぱいです」と画面の表示が何度も出るようになったので、詳しい知り合いに見てもらったところ
「このPC、イラレを入れて使うようにできてないから、こういうのが出ちゃうんだよ。対策としては、PCの中になるべく保存しないほうがいいんじゃない」
と言われ、暫定的な措置として、描いたデザインの保存はUSBにすることにしました。
なんとも情けない・・・。
製版をする
レタープレスというのは、版に1色ずつ色を乗せて印刷します。
したがって、色が増えるほど手間がかかることになります。
また細かいものを作ってしまうと、次の色を刷るときの位置を合わせるのが難しくなります。
こういったことを加味しながら(といっても、経験があるわけでもなく、参考書があるわけでもないので、あくまでも想像しながら)たくさん書いたデザインの中から、1枚を選びました。
私が選んだデザインはこれです。(ちなみにプリンターもないので、PDFに変換し、コンビニでプリントしていました)
使用する色は2色。
これを色ごとのデザインにし、墨1色にしたら製版の準備完了です。
真映社さんに入稿し、製版をお願いします。
届くまでに、何度も真映社さんがyoutubeでアップされている、自宅でレタープレスの動画を何度も見ながら、印刷のイメージトレーニングをしました。
それから他に必要な細かい道具も、買いそろえました。
2日ほどしたら、版が自宅のポストに届きました。
いよいよ印刷です。
インキを取り出し、ローラーで伸ばして、版にのせます。
そしてプレス機にかけて・・・・
あ、あれ?なんかイメージしたのと違って、汚い・・・。
何度か刷ってみても、同じ。
真映社さんに
「こんなにムラで汚くなっちゃうんだけど、原因はなんだと思いますか?」
とメールしてみると、すぐにお返事を下さって
「インキの練りが足りないんじゃないかな?ローラーで何度も伸ばしてから、印刷してみて。あと紙を挟んで圧を上げて印刷してみて」
と的確なアドバイスをいただきました。
これでもか、これでもかと伸ばしてみて、再度印刷してみると・・・
ほんとだ、さっきよりもきれいだ。
その後何枚か刷ってみて、その翌日2色目の赤を印刷。
1枚目が出来上がったとたん、わたしは感動。
「なんて美しいの!」
コンビニのプリンターで印刷した時にはなかった、優しい雰囲気が、レタープレスで印刷したポストカードにはあふれ出ていて、思わずうっとりとみとれてしまいました。
その後たくさん刷った印刷物たち。
幸せそのものです。
プロフィール
はじめまして、まぶこと申します。
レタープレスという方法で制作した紙雑貨で、事業をしています。
レタープレスというのは、「活版印刷」ともいわれ、凸版にインキを乗せ、圧力をかけて印刷するという古くから用いられている印刷方法です。
図工の時間にやった、版画をイメージしていただくと、わかりやすいかもしれません。
版を作って、インキを乗せて、紙を乗せて、ローラーにかけて印刷する、といった感じで印刷をします。
印刷した時にできる凸凹や、インキの風合いは、通常の印刷にはない温もり感を感じるともいわれます。
私は現在、月の売上80万円を目指し、活動をしています。
このブログでは、そんな私の事業の活動記録を書いていこうと思います。
まずは私がなぜこの事業を始めたのかというところから、お話をさせていただきます。
実はレタープレスとの出会いは、この本との出会いでした。
活版印刷の本 手紙社
もともとレトロなデザインが好きだったり
手触りの優しい和紙のような紙が好きだったり
目の覚めるような白よりも、生成りのようなナチュラルな色が好きだったり
そんな数々の自分の「好き」からこの本を手に取り、購入したような気がします。
何度も何度もその本を眺めながら、
「いつか私もこんな作品を作ってみたいなぁ」
と思っていました。
その願いは思いもよらないことで、叶うこととなります。
それはメンタルの不調から会社に行くことができなくなり、退社することにはじまります。
自分の無力感から落ち込み、動く気力もなく1日のほとんどをベッドで寝たまま過ごす。そんな生活が数週間続きました。
そんな私を心配して、いろいろと声をかけてくれたり、会社から早く帰ってきてくれたりしていた夫が、ある日身支度をしながら言ってくれた一言が、ひっかかりました。
「好きなことをしたらいいよ。ここまで頑張ったじゃない」
数週間自分を責めることしか思いつかなかった私の中に
「好きなこと・・・さて、私はなにがやりたいんだろう」
と、新しい問いが生まれました。
そして思い出したのが、この2冊の本でした。
「レタープレスをやってみたい」
これが私とレタープレスの始まりでした。
この本を眺めながら、私だったらどんなのを作りたいんだろうと、ベッドでゴロゴロしながら考えました。
POPなのも好きだけど、いいデザインは思い浮かびそうにないなぁ・・・
繊細な線画で書いた、ボタニカル柄にも惹かれるけど、そういえば私はスケッチは苦手だった・・・
かわいいキャラクターなんて、絶対に描けるわけないし・・・
そして思いついたのが、着ることも眺めることも大好きな、アンティークの着物のようなデザインで作ってみたいということでした。